今やダメな芸能人を代表するひとりとなった田代まさし。
覚せい剤だけでなく盗撮などでも度々警察の厄介になっている。
さて、新聞やテレビなどマスコミ報道で田代まさし「さん」と報じられることがある。
「容疑者」や「被告」は良く耳にするが、「さん」付けをすると少々違和感を感じてしまう。
田代まさしの一連の事件とマスコミの報じ方から「さん」付けで呼ばれる理由をまとめてみよう。
盗撮事件について
2015年7月6日午後6時40分ごろ。
田代まさしが東京都世田谷区の双子玉川駅ホームで女性のスカートの中を携帯電話で撮影したと報じられた。
駆けつけた警察官に対して本人は事実を認めたと言われていた。
被害者の女性はそのまま立ち去り、被害届は出ていないそうだ。
2015年7月28日、警視庁はこの事案について書類送検を行った。
女性のスカート内を盗撮したとして、警視庁玉川署は28日、東京都迷惑防止条例違反容疑で、都内に住む元タレントの田代まさしさん(58)を書類送検した。同署によると、容疑を認めている。
そして、東京簡易裁判所は2015年9月17日までに田代まさしに対して罰金30蔓延の略式命令を出した。
これをもって盗撮事件は終結した形になった。
女性のスカート内を盗撮したとして、東京都迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで書類送検されていた元タレントの田代まさし(本名・田代政)さん(59)について、東京簡裁は17日までに、同罪で罰金30万円の略式命令を出した。命令は1日付。
マスコミが田代まさし「さん」付けで報道
マスコミは、この田代まさし盗撮事件について、「さん付け」もしくは呼び捨てで報じた。
田代まさしさん、スカート内を盗撮容疑で書類送検へ
出典:TBS News i
田代まさしさん、書類送検へ 駅でスカート内を盗撮容疑
出典:朝日新聞DIGITAL
盗撮で警察出動、最終的に書類送検となった田代まさしに対して、「容疑者」ではなく「田代まさしさん」や「田代まさし」なのである。
通常、事件などで逮捕されると「容疑者」と呼称される。
だが、田代まさしの盗撮事件においては「さん付け」だったのだ。
いったい何故なのか?
事件報道で使われる用語などと合わせてその理由をまとめた。
※注意
以下はあくまで当ブログ運営者が独自に調べた結果理解したものだ。
そのため間違っている可能性もあるのでご了承頂きたい。
逮捕について
大前提として逮捕について最初に説明しておく。
逮捕とは、犯人として疑わしい人物を取り調べるため、もしくは逃亡や証拠隠滅を防ぐために身柄を確保することだ。
決して容疑者=犯人ではない。
日本では容疑者=犯人というイメージが定着してしまっているが、これについては後述する。
犯罪を犯してから罪が確定するまで
逮捕について踏まえた上で、犯罪を犯してから罪が確定するまでの流れを簡単に説明する。
警察が検察に送検 ⇒ 検察が裁判所に起訴 ⇒ 裁判で罪が確定
これが一連の基本的な流れである。
つまり、警察は送検するために取り調べをする目的で容疑者を逮捕するのである。
逆に逮捕せずとも送検できるのであれば逮捕の必要がないとも言える。
なお、容疑者という単語を散々使っているが専門的には「容疑者」ではなく「被疑者」という。
「容疑者」はマスコミ用語である。
書類送検とは?
次に書類送検について説明しておこう。
書類送検(しょるいそうけん)とは、刑事手続において、司法警察員が被疑者を逮捕せず、または、逮捕後釈放した後に、被疑者の身柄を拘束することなく事件を検察官送致(送致、送検)することを指す、主に報道で用いられる用語である。書類送付と表現されることもある
Wikipediaではこのように説明している。
田代まさしの例でいえば、盗撮の通報を受けて駆け付けた警察官が事情を聴いて事実を認めたので逮捕せずに捜査書類や物証を検察に送るということになる。
マスコミが「さん」付けする理由
さて、田代まさしが「さん付け」された理由について説明する。
「容疑者」はマスコミ用語で法律上では「被疑者」が正しいのは先に説明した通りだ。
ふたつの単語の意味は同じで、犯罪を犯した疑いがあり逮捕して身柄を拘束された(される)人物を指す。
「容疑者」という言葉の成り立ち
「容疑者」という言葉も元々は存在していなかった。
昭和の頃、マスコミは法律上の「被疑者」にあたる人物について報じるとき「実名での呼び捨て」で報道していた。
今回の田代まさしで言えば、「田代まさしが盗撮で~」と言った具合に報じていたのだ。
しかし、実名での呼び捨ては良くないという話になった。
刑事事件は推定無罪(罪が確定するまでは無罪)という考え方が原則であり、基本的人権を考慮すると実名の呼び捨ては避けるべきという流れになったようだ。
そうなると、田代まさし被疑者と報じそうなものだが、放送上「被疑者」と「被害者」という言葉を並べると見間違える可能性があった。
そのため、法律上の「被疑者」ではなく、マスコミ独自の「容疑者」という言葉が使われるようになったのである。
この点からも、あくまで容疑者の段階では推定無罪の原則が働くのでイコール犯人ではないのだ。
日本において容疑者=犯人になっているのは、警察が送検した段階で犯罪の裏どりが十分に行われており、高い確率で起訴⇒有罪となるために容疑者の段階から犯人という前提の報道がされているためである。
あくまで、犯罪を犯したかどうかは裁判での判断によるのである。
田代まさし「さん」付けはルールに従ったもの
今回、田代まさしが盗撮事件で「さん」付けで報じられた理由は、ルールに従った結果だ。
共同通信の「記者ハンドブック」という新聞社が記事を書く際のガイドラインのようなものが存在している。
テレビやラジオなどの民放各社もこのガイドラインを参考に報道をする。
さて、手元にあるそのハンドブック【第8版】では、「事件、事故報道の呼称」として、次のようにあります。
「報道は実名を原則とし、被疑者の氏名の後に『容疑者』の呼称をつける」
「一、逮捕段階から起訴時点までの各記事の初出時は、氏名の後に「容疑者」をつける」
「二、未成年者についても…(略)」
「三、実名を出す場合の任意の調べ、書類送検、略式起訴、起訴猶予、不起訴処分は『肩書』、または『敬称(さん・氏)を原則とする』」出典:踊る新聞屋ー。
引用は、被疑者の呼称に関するルールだ。
「さん」付けについて重要なのは3番である。
三、実名を出す場合の任意の調べ、書類送検、略式起訴、起訴猶予、不起訴処分は『肩書』、または『敬称(さん・氏)を原則とする』
田代まさしの件を例にして説明するとこうなる。
2015年7月10日の報道された段階では、田代まさしは「逮捕されていない」「任意のとり詩だべを受けている」「書類送検前」の状態だった。
そのため、この三番目が適用されて「さん」付けされたというわけだ。
余談だが、フジテレビのように自社の都合でジャニーズメンバーの不祥事に際し、「書類送検」を「検察に書類を送付」とするケースもある。
意味合いは同じなので問題はないが、報じる相手によって印象を操作していることは確かだ。
世間のマスコミに対する不信感が募るのも仕方が無いだろう。
容疑者のあとは何と呼ばれる?
先にも説明した通り、警察が(書類)送検したあと、検察が起訴するかどうかを判断する。
不起訴とは、起訴をしないということなので裁判所の判断を仰がないで終わりにするということだ。
この場合、法律上罪には問われないので当然だが前科もつかない。
不起訴になるかどうかは、過去の犯罪歴や事件の内容によって判断されるようだ。
対して起訴された場合は舞台が裁判所へ移る。
訴えた側「原告」に対して、これまで「被疑者」「容疑者」と呼ばれた人物は訴えられた側「被告」と呼称される。
今後、田代まさし氏は書類送検になれば、検察で起訴(裁判する)、不起訴(裁判しない)という判断がされ、起訴されれば
被告になります。
かつて
○○メンバー、○○司会者、○○タレント、○○ギタリスト
など珍奇な肩書付で報道された例もあります。
田代まさし氏は
「田代まさし○○○」
○の中に何が入るのでしょうか???
コメント
マーシーへのさん付けの理由は「呼び捨てにするほど親しみを感じない」からじゃないからでしょうか?