トヨタCM「ドラえもん」シリーズの出演者は?人気の秘密を考察
2016/09/01
自動車メーカー「トヨタ」は様々なテレビCMを世に送り出している。
それらCMの中でも人気や話題性が高かった作品のひとつが「大人になったドラえもんキャラクター」達が出演するシリーズである。
ドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫の主要5キャラクターを実写、しかも大人になった姿で描写するというある種のリスクを伴うテーマを配役の妙や原作と実写の絶妙な世界観で見事に良作を作り上げた。
そんなトヨタのCM「ドラえもんシリーズ」の出演者をまとめて、人気CMとなったポイントを考察してみる。
全20話のCM、それぞれのあらすじについては別の記事にまとめるのでご参照頂きたい。
CMの出演者は誰?
TOYOTAのCM「ドラえもん」シリーズの出演者は次のとおりである。
ドラえもん
実写パート:ジャン・レノ
アニメパート:水田わさび
のび太
実写パート:妻夫木聡
アニメパート:大原めぐみ
しずか
実写パート:水川あさみ
アニメパート:かかずゆみ
ジャイアン
実写パート:小川直哉
アニメパート:木村昴
スネ夫
実写パート:山下智久
アニメパート:関智一
ジャイ子
実写パート:前田敦子
その他の配役
- 出木杉くん:内村航平(実写パート)
- ジャイ子の娘:鈴木梨央
- 教習所教官:斉藤洋介
- トヨタ店員:西尾由佳理
- しずかの父:三浦友和
- ノビスケ:妻夫木聡
- セワシ:妻夫木聡
CM動画リスト(全20話)
- 【1話】「のび太30歳」篇
- 【2話】「のび太のバーベキュー」篇
- 【3話】「のび太のドラ離れ宣言」篇
- 【4話】「のび太のもしもな世界」篇
- 【5話】「スネ夫の素敵なドライブ」篇
- 【6話】「のび太のラジコン運転」篇
- 【7話】「のび太オリンピックへ行く」篇<
- 【8話】「ジャイアン ジャイ子の芸術の秋」篇
- 【9話】「のび太の籠屋」篇
- 【10話】「のび太の学科試験」篇
- 【11話】「しずかのバイオリン」篇
- 【12話】「ドラえもんお店で相談」篇
- 【13話】「なぜかほん訳こんにゃく」篇
- 【14話】「どこでもノア 鼻声」篇
- 【15話】「どこでもノア のび太とジャイ子の娘」篇
- 【16話】「のび太とT子」篇
- 【17話】「ジャイ子と T子」「スネ夫と T子」
- 【18話】「しずかと父」篇
- 【19話】「のび太一族集合」篇
- 【20話】「ソーナルじょう」篇
各CM話のストーリーついては下の記事にまとめたので合わせて読んでほしい。
トヨタのドラえもんCMが人気の理由
トヨタCMのドラえもんシリーズは、なぜ人気があり話題になったのか?
人気に要因となったポイントを次のように考える。
意外だけど絶妙な配役
原作では小学生である、のび太をはじめとしたキャラクター達。
彼らが大人になった姿を実写で撮るということは配役が最も重要になる。
「シナリオが良ければ配役なんて・・・」という意見もあるだろうが、「ドラえもん」という多くの国民が認知している作品を原作とする場合はそうもいかない。
配役ひとつでキャラクターイメージが変わる恐れがある上に、CMとしてもイメージダウンに繋がる可能性がある。
つまり、多くの人間が納得するキャストを揃える必要があった。
その点で、のび太のナヨナヨしてイメージに妻夫木聡を、ガキ大将のジャイアンに格闘家で気性の荒いイメージがある小川直也を起用したのは絶妙と言えるだろう。
猫型ロボットのドラえもんに、フランスの俳優ジャン・レノを起用する意外性も良い。
ジャン・レノは、映画「レオン」などで日本国内でも知名度が高い為、話題作りにもなった。
スネ夫役の山下智久は、「子分肌というスネ夫らしさ」や「金持ちでちょっと嫌味な奴」という原作の味が消えてしまっているのが残念だが、「スネ夫も大人になった」で片づけられなくもない。
むしろ、山下智久が「スネ夫ヘアー」を受け入れたという事実と彼の勇気に称賛を送りたい。
しずか役の水川あさみが一番特徴が無い配役かもしれない。
違和感は少ないが、視聴者それぞれが持っている「源静香のイメージ」と水川あさみの配役が乖離しているという意見もあるようだが、個人的には、しずかが大人になったら「あんな感じでは?」という印象は強い。
漫画「ドラえもん」へのオマージュ
トヨタCMの「ドラえもん」シリーズが人気だった理由には漫画「ドラえもん」に対する考え方が見て取れる。
例を1つ挙げよう。
大人になった「のび太」が免許取得のために「暗記パン」を使って筆記試験の合格を狙った。
しかし、食べ過ぎてお腹を壊して試験の前に全て出てしまう。
これはドラえもんの漫画を読んだ人は「ニヤッ」としてしまう場面だ。
トヨタのドラえもんCMには、原作へのオマージュが盛り込まれている。
※暗記パンとは、パンに内容を写し、食べるとその内容を覚えてしまうドラえもんの秘密道具のひとつ。
壊れていない世界観
これも原作に対するオマージュと取れるが、「のび太が大人になったらこんな行動を起こすだろう」という原作の世界観を壊してない作りもポイントだ。
のび太は大人になってものび太なのだと視聴者は違和感を覚えることはないだろう。
免許がない為に車が運転できないのび太はに対して、ドラえもんは秘密道具でなんとかしようとする。
ところが、のび太は「秘密道具に頼りたくない」と言い放つ。
しかし、次の瞬間には四次元ポケットから免許を出してもらおうとするのび太。
実にのび太らしい発想である。
このように原作の世界観を大切にする作り手の姿勢もCM人気のポイントだろう。
リアルとの絶妙な融合
原作を維持しつつ、それでいて実写とうまく融合しているポイントがある。
トヨタ店員によるの残価格設定プランの説明が分からず「翻訳こんにゃく」を使用するドラえもん達。
これで説明が理解できるのかと思いきや、店員はフランス語で話し始めてしまった。
CM中にフランス語が採用された理由は、ドラえもん役のジャン・レノがフランスの俳優であるからだ。
このようにリアルの設定も随所に盛り込んでCMを引き立てている。
一部配役に対する意見も
ジャイ子の実写役には元AKB48の前田敦子がキャスティングされた。
ジャイ子は、原作がそもそも可愛いの逆ベクトルに向かう容姿だったた。
そのジャイ子が大人になったらすっかり変わってそれなりに美人になっていという「えぇぇぇ!!」という裏切りの驚き与えた。
その為、配役に前田敦子を起用する必要があったのかは意見が分かれるところだ。
ある意味で原作イメージを保つ必要が無いジャイ子だが、ドラえもん=ジャン・レノほどのインパクトも無い。
トヨタCM「ドラえもん」シリーズは自動車CMとしては「アリ」なのか?
インパクトが大きいので忘れがちだが、このCMは自動車の販売促進を目的としているのが大前提だ。
果たして、自動車CMとして「ドラえもん」シリーズはアリなのだろうか?
近年のトヨタ車は丸みを帯びた曲線を基調にするものが多い。
また、車のフロントデザインが「ケバい」ものも見受けられる。
個人の主観によるが、カッコいい車からは離れているという意見も多いため、ドラえもんシリーズのCMのような「イロモノ」的作品にした方が、逆にトヨタの車種全体の訴求につながるのかもしれない。
そのようなわけで、トヨタCMの「ドラえもん」シリーズは自動車CMとしても「アリ」なのだろう。