暇つぶしに最適!他とは違うウェブエンタメマガジン

資生堂役員「制度に甘えるな!」育児支援とは何なのか?

      2016/09/05

「資生堂ショック」という単語がインターネットを中心に世間を賑わせている。

「資生堂ショック」とは2015年11月9日に放送されたNHKの「おはよう日本」で取り上げた化粧品メーカー「資生堂」の育児支援制度改革が、あまりに育児中の女性に対して厳しいものであったためにそのように呼ばれている。

資生堂が取り組んだ育児支援制度改革の内容はどのようなものなのか?
どんな問題があってこのような改革を行ったのか?

そこには無能な幹部の安直な発想が見えてくる。

スポンサーリンク

etn_レスポンシブ用

資生堂は女性が働きやすい会社であった

今でこそ政府はオウムのように「女性が活躍する社会」と繰り返すが、資生堂は女性従業員の割合が多いためなのか、育児休暇や就労時間を短くする時短勤務などの制度をいち早く取り入れてきた。

育児休暇・・・子育てをするために一時的に仕事を休める制度。
時短勤務・・・1日の就労時間を短くしてその分を育児に割り当ててもらう制度。

資生堂の店舗は全国のデパートなどで見かけるが、全ての店舗は「美容部員」と呼ばれる女性で構成されているようだ。
全国に1万人いるとされる美容部員が直接接客をして売り上げを立てていく。
まさに女性が活躍する職場なのである。

そんな資生堂だからこそ企業イメージアップを考えて育児支援制度を率先して導入してきたのだろう。

資生堂が育児支援制度を導入したのは1991年。
当初、美容部員の制度利用はごく少数だったようだ。
2007年に当時の資生堂社長が美容部員に育児支援制度の利用を促したところ、制度利用者が激増した。

ところが、制度利用者が増えるのと同時に資生堂の売り上げが減少していった。
経営幹部は「忙しい時に人がいない」
つまり、育児休暇や時短勤務による人手不足が売り上げ減少の要因の1つであると考えた。

「過去の習慣的に、育児時間(短時間勤務)取得者は早番、暗黙のルールがあった。
いちばん忙しい時間に1人足りないということが発生していた。
そういう時間にいないことが(販売の)機会喪失につながっていたのではないか。
そこについては悩んでいた。」

育児視線制度のしわ寄せが制度を利用しない社員に

育児休暇や時短勤務を利用するということは、単純に人でが不足してくる。

人手不足の正しい対応は、計画的に人員を増加することである。
派遣を利用してルーチン業務などをお任せするという手段も考えられる。

しかし資生堂の経営幹部は、育児支援制度を利用しない社員で人手不足を補おうと考えたのだ。
制度を利用しない社員は、「遅番」や「土日勤務」が集中していく。

いつしか社員からは「不公平である」という声が続出していった。

資生堂の改革

育児支援制度を利用していない社員の不満の声や売り上げ減少の現実を何とかしようと経営幹部が講じたものが「資生堂ショック」という育児支援制度の改革である。

詳細を見てみよう。

育児制度利用=甘えの図式を構築

2013年、資生堂は子育て中の美容部員にDVDを配布した。
中身は以下である。

冒頭に資生堂役員が警告を促す

“月日を重ねるごとに、何となく(育児時間=短時間勤務)を取るのが当たり前、甘えが出てきたりだとか、そこを取るという権利だけ主張しちゃったり。”

育児支援制度に甘えるなということのようだ。

制度の利用と非利用の差を縮めて不満を解消

“ひとつきの土日8日のうち2日は勤務することを基本とし、また、遅番10日を基本とし、会社が決定します。”

木内さんは復帰後、短時間勤務を利用しながら月3回の遅番と4回の土日勤務をこなすことになりました。
また、営業ノルマは1日18人の接客を行うこと。
これはフルタイムの場合と同じです。

育児支援制度利用者と非利用者の間にある差を縮めようとしている。
これにより不満を解消したいと考えているのだろう。
営業ノルマを通常勤務と同等にしてしまって果たして全ての育児制度利用者が適応できるのだろうか?

問題のすり替え「社員のためである」

資生堂 人事部 ビジネスパートナー室 本多由紀室長
「育児期の社員は常に支えられる側で、本人たちのキャリアアップも図れない。
なんとか会社を支える側に回ってもらいたいという強い思いがあった。
働くことに対する意識、ここに対してメスを入れていこう。」

ちょっと待て。
育児期の社員は常に支えられる側というが、そもそも「育児の負担を考えて仕事の負担を減らす」ことが育児支援制度の目的ではないのか?
育児制度とキャリアアップを一緒に語るのはどうであろうか。

資生堂 人事部 ビジネスパートナー室 本多由紀室長
「育児時間(短時間勤務)を取っている人は悪い評価でも文句を言えないから我慢してもらおうではなく、ちゃんとそこは客観的に評価をしていく。
厳しい部分はあったかもしれないが、会社も社員もどちらも成長していく、意義のある大事な取り組み。」

言っていることはわからないでもない。
しかし、そもそも「育児時間(短時間勤務)を取っている人は悪い評価でも文句を言えない」という風潮が資生堂内に蔓延しているということではないのか?
資生堂が育児制度利用者を意図的に低評価にしていると読み解くこともできるのだが。

唯一評価できそうな点

この育児支援制度の改革で評価できそうな点もあった。

  • 夫や家族の協力が得られるかを確認して進めている
  • 協力者がいない場合はベビーシッターの補助を出す
  • または地域の子育てサービスを活用するようにアドバイスする

ごり押しして無理に進めれば「ブラック企業」のレッテルを貼られる、そんなことを恐れての対応かもしれない。

そもそも経営幹部の責任では?

今回の育児支援制度の改革、そもそもは売り上げが下がっている=育児支援制度にも原因があるということが発端のようだ。
育児支援制度を利用して、育児休暇や時短勤務者増えれば人手が不足してくることは容易に想定できるだろう。
その想定を怠って事前に対処しておかなかったのは経営幹部の責任ではないのか?

本当に美容部員のことを考えて育児支援の制度を変えていくことは否定しない。
また、企業経営の為に適切に制度を変更していくことについても否定しない。

しかし、改革と同時に人的リソースの見直しや制度非利用者への評価の見直しなどは行ったのだろうか?
育児支援制度改革と育児支援制度の非利用者から出た不満は別の問題だと思うのだが。

NHKの取材を見る限り、配布したDVDの内容や発言がどうにも引っかかってしまう。
経営幹部の無能の責任を美容幹部が押し付けられているのではければ良いのだが、と考えてしまう。

 - 特集・まとめ ,